FC2ブログ

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://shinfujita.blog67.fc2.com/tb.php/54-6e76f1a9

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

『ショック・ドクトリン』

『ショック・ドクトリン』
ナオミ・クライン(岩波書店)

本書が発刊されたのが07年。これほど前評判が高く、邦訳が待たれた本はないかもしれない。著者については前著『ブランドなんか、いらない』を読んでいたので楽しみにしていたが、これほどの労作だとは思わなかった。私が近年読んだなかで最重要書籍の筆頭にくることは間違いない。

これ一冊で、この20~30年間に世界で起きたことがひもとけてしまう。同時にグローバリズムの正体も暴かれる。キーワードは「惨事便乗型資本主義」で、主人公は新自由主義を提唱した経済学者ミルトン・フリードマン(ノーベル経済学賞)。
フリードマン一派(シカゴボーイズ)にIMF、世銀、G8、ヘッジファンドやらグローバル企業が絡み合って、チリ、アルゼンチン、ウルグアイ、ニカラグア、南アフリカ、ロシア、インドネシア、スリランカ…で何をしてきたが詳細に述べられている。

ひとことで言えば、経済危機によるパニックに陥れた隙に、自由貿易・減税・民営化・規制緩和などの処方を与えるのである。その結果、一部の企業や投資家が膨大なカネを吸い取って退散した後、国民が無秩序と貧困に放置される。惨事こそ最大のビジネスチャンスであることを学び、イラクでは戦争までビジネスに転換させてしまう(傭兵、物資輸送、セキュリティーなどを会社が請け負う)。アメリカ国内においても、ハリケーンがビジネスチャンスになった。カトリーナが通過した後、災害で呆然とする貧困層には目もくれないで、ビジネスマンがハイエナのごとく集まり投資計画にいそしむのである。まことにおぞましい話が満載だ。

フリードマンは2006年に亡くなったが、その年の国連調査は「世界の成人人口の上位2%の富裕層が、地球上の世帯財産の半分以上を所有いる」と報告した。新自由主義は、この2%を生み出すために98%を破壊放置する思想であったのだ。しかし2%とはいえ、世界半分以上のカネと権力を持っているのだから始末に負えない。いまなお健在だ。その矛先のひとつは日本で、手法はTPP。常套文句は自由貿易・減税・民営化・規制緩和である。
フクシマ原発事故も、「惨事便乗型資本主義」者たちからみると、私たちとはまったく違うもの、天から降ってきたビジネスチャンスに見えるのだろう。わが国の対米隷属的な政・官・財をみる限り、国民はさておき自分たちだけでも2%組に入れてもらえないだろうかと奔走しているようで、何だか絶望的な気持ちになってくる。

ところが本書は最終章で、救いの道をしめしてくれる。新自由主義の始めの実験場となったラテンアメリカ諸国が、ショック・ドクトリンに教訓を得て自国の経済を立て直すことに成功しはじめたのだ。その手法とは、IMFや世銀に頼らずに地元の共同組合や地域間のフェアトレードなどを地道に積みかさねていくものである。そのラテンアメリカの動きはアジアやアフリカにも及びつつある。本書は以下の言葉でしめくくられる。

----------------------------------------------------
 コーポラティズムによる改革運動が衰退の一途をたどりつつ、行く手に立ち上がる抵抗勢力を撃退するためにショックのレベルをさらに強めていくなか、これらの運動は原理主義の合間を縫って前へ前へと進んで行く。地域社会の根を張り、ひたすら実質的な改革に取り組むという意味においてのみ急進的なこれらの人々は、自らを単なる修繕屋とみなし、手に入るものを使って地域社会を手直しし、強化し、平等で済みやすい場所へと作り変えている。そして何にも増して、自らの回復力の増強を図っている―来るべきショックに備えて。
----------------------------------------------------

巧妙で冷酷な新自由主義に異議をとなえるためには、本書がひとりでも多くの人に読み継がれていく下地がかかせない。必読の書である。



スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://shinfujita.blog67.fc2.com/tb.php/54-6e76f1a9

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

リピートアート

Author:リピートアート
FC2ブログへようこそ!

カテゴリ

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。